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野口雨情による有名な歌に『シャボン玉』があります。

シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

背景を聞くまでは一見単純な歌に見えるかもしれません。野口の子供は幼かったときに 亡くなりました。父親にとってこれ以上悲しいことはないでしょう。それでこの子は一体どこへ行ったのかを自然に自分に問いかけます。野口が見つけた声は「どこへも行っていません」。ただシャボン玉の中の空気が外の空気と一体になったように、命が大きな命と一つになりました。

昔、内田百閒の俳句を読んで今でも印象に残っています。

蓮根は 穴のところが 旨い

これは初めて「空」の大切さに気付いたきっかけです。私たちが生活しているこの物質主義的な社会では、このような歌は目薬のようなものだと思います。なぜなら、物事の物質的な面だけを見るとき、私たちの認識がいかに限られているか思い出させるからです。例えば、ドーナッツの大切な特徴は穴のところでしょう。

私たちが見ても目に見えない物事は多いです。一日のうちに目の前を通る物は多数ですが、その中で記憶に残るのは何パーセントですか? 理解されるのは何パーセントですか? アートの専門教育を受けていないクライアントさんは、しばしばデザインの「空いている」ところに何かを入れてほしいと言います。その結果、詰まっている、息苦しいデザインになります。満員の電車やバスのような感じです。

ある物とその周り、その内容を見て、見た目に騙されずその本質を追及することは、いつもやりたいことです。特に人を見るときはそうしたいです。その人の奥に何か自分と共通点を見つければ、それは絆の原点となりますから。

ブラジル出身。14歳のとき日本の漫画に感銘を受け漫画家を志す。猛烈に漫画と日本語を勉強し東京造形大学大学院に留学。卒業後5年間IT企業の仕事に励みながら漫画を描く。現在はPresident Next で『マイ禅ダイアリー』を連載するなど、禅に夢中の漫画家として活躍中。

ドーナッツの穴で発見できる「空白」の大切さ

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